最近の若者が「結婚しない、車買わない、家買わない」ことを親世代が嘆いていることに対して、「そもそも金がないから無理」という意見を呟いてる人がいたので、夫は定年まで1社で勤め、妻は専業主婦、子供は二人、一戸建て&車所有という“一昔前の普通の生活”をできるか試算してみた。
まずよく言われている生涯年収2億円の妥当性からチェック。23歳から60歳まで37年間務めるとして、年代ごとに20代350万、30代500万、40代700万、50代前半800万、50代後半450万という条件で試算すると2億7百万円。まあ妥当と見て、生涯年収2億でシミュレーションを進めて行きます。
2億はあくまでも年収なので、税金を引いた手取り額を出します。平均年収540万円と考えると手取り額は大体70%台後半くらい。ちょっと多めに見て80%の1億6000万としておきます。
今度は退職金を計算します。データでは、中小企業の平均は1300万、経団連所属の上場企業で2300万ということなので、今回の試算では普通の家庭という条件なので間をとって1800万かな。私が勤めてる一部上場のクソザコ金融でも1700万後半くらいなので妥当なところでしょう。
以前呟いたことがありますが、大体の企業では退職金のうち一時払いで受け取れるのは30~50%で残りは企業年金で支払われますが、今回は面倒なので全額一時払いで受け取ったと仮定します。この条件なら税金も発生しないので、先ほどの生涯年収1億6000万に1800万上乗せということになります。
最後に公的年金の計算です。今回は妻は専業主婦という条件なので、夫の厚生年金、妻の国民年金、それぞれの平均値を合算して月額22万。受給年齢が引き上げられる話もありますが、受給年齢は現在の65歳、夫婦ともに80歳で亡くなると仮定して15年間貰えるとすると、約4000万円になります。
とりあえず資産運用や副業などは考えないで、生涯年収、退職金、公的年金を合算した2億1800万円を元手として、“一昔前の普通の生活”を送ることができるか見ていきましょう。
まずは生活費から。独身時代の生活費は条件次第で大きく異なるので、ここでは新卒と同時に結婚したとして、23歳から80歳の57年間の夫婦の生活費をまずは試算してみます。
ゼクシイによる新婚家庭のひと月の平均生活費は21万円というアンケート結果を基に考えていきます。このアンケートでは住居費は7.9万。今回は一戸建てに住むという条件なので、月8万の返済でローンを組むとして、価格2500万、固定金利1%、30年返済。埼玉や千葉の郊外なら駐車場付き3LDK行けるかな?
ただ持ち家となると、購入時の費用、固定資産税や火災保険も別途かかり、将来のリフォーム資金も積み立てる必要があるので、月3.5万程度余分にかかると考えられます。また、このアンケートには車関係の費用が含まれていないので、こちらも別建てで計上する必要があります。
車の維持費の平均を見てみると、駐車場付きの一戸建てを購入する条件なので駐車場代はかからないとしても、大体月額1万5千程度かかります。これに加えて購入費用が、57年間で7年周期で乗り換えと考えて8回程度発生します。下取り分も含めて120万程度。これを月換算すると1万4千程度。
つまり車関連の費用は月額3万程度かかると推定されます。以上により、生活費は21万+3.5万+3万で27.5万円となります。一方、老後の生活費は25~27万程度と言われていますので、生活費は27万で57年間推移すると考えて試算すると、1億8468万。生活費を除いただけで残りはもう3332万円しかありません。
これに加えて子供が二人、大学卒業まで面倒みると仮定して考えてみます。一般的に大学卒業までにかかる子育て費用は3000万円と言われていますが、これには生活費や習い事の費用も含まれています。また、公立に入れるか私立に入れるかで金額もまた大きく違ってきます。
幼稚園から大学まですべて公立だと2500万から3000万、すべて私立だと3000万から4000万程度になるようですが、ここでは1人3000万として、子供二人なので6000万。この時点ですでに2668万の赤字です…
なんと夫婦の生活費と子供二人の資金だけですでに赤字。これでは結婚式(相場350万)や新婚旅行(相場30万)どころではありません。それこそガチャで爆死なんてしてる場合じゃないのです。人によっては奨学金の返済を抱えていたりもするので、資金的にはさらに厳しくなると思われます。
以上のことから、”一昔前の普通の生活”は現代では一握りの人しか享受できなくなっていることがわかります。そもそも一昔前とは生涯年収が1億下がり、退職金も年金も下がっています。定期預金の金利も今では0.03%付けばいい方なのに、昔は5%近くあり、15年置けば元金2倍になっていた時代。
そういうことを考慮すれば、当時の”普通の生活”を現代の若者たちが普通に送れるわけもありません。そんなわけなので、親世代に何か言われるのが苦痛な独身者の人は、こういうデータを淡々と挙げて徹底的に論破してみてください。十中八九逆ギレされて終わると思いますが(苦笑
以上、30代後半になっても独身&独り暮らしを貫く、金融社畜系1級ファイナンシャル・プランニング技能士の暇つぶしのコーナーでした。
書き忘れたことがあるので追記。前にも呟いたけど、退職金は就業年数によって貰える金額が変わってくるので、転職を複数回して20年以上務めた企業がないという人になると、今回の試算の3分の1以下(500万以下)になるので気を付けてください。
それから住宅ローンを借りてから10年以内に、当初の支払い条件が厳しくなってリスケジューリングする人の割合はかなり高いので、一括で購入できる人か購入資金の半分以上を頭金で用意できる人以外は、安易に住宅を購入しない方がいいと思います。
そもそも今の時代、転勤だけじゃなく転職で単身赴任を強いられることも多いし、近所にDQNな一家が越してくるリスクもある。住宅ローンを払い終わる頃には資産価値がなくなってるうえ、相続税の負担も高くなってきてる。個人的にはその時点の生活水準にあった賃貸マンションに住むのが賢いと思います。
最近の若者が「結婚しない、車買わない、家買わない」ことを親世代が嘆いていることに対して、「そもそも金がないから無理」という意見を呟いてる人がいたので、夫は定年まで1社で勤め、妻は専業主婦、子供は二人、一戸建て&車所有という“一昔前の普通の生活”をできるか試算してみた。
— jade (@jade_nyan) 2018年5月4日